坪井香譲の文武随想録

時に武術や身体の実践技法に触れ、時に文学や瞑想の思想に触れる。身体の運動や形や力と、詩の微妙な呼吸を対応させる。言葉と想像力と宇宙と体の絶妙な呼応を文と武で追求。本名、繁幸。<たま・スペース>マスター

やわらを入れる(第二部) 『もうひとつのからだへ』【 円相が呼吸する 】の章 ‐ 〈4〉

オノ・ヨーコ、円の発想で危機を乗りこえる 小野洋子(オノ・ヨーコ)は、殺されたジョン・レノンのメモリアルプレースとして写真のようなモニュメントを作っている。ニューヨークのセントラルパークの一角の地面に円い形が設えられ、中に〈IMAGINE〉と記し…

やわらを入れる(第二部) 『もうひとつのからだへ』【 円相が呼吸する 】の章 ‐ 〈3〉

武術の極意に活きる円相 太極拳では図版で技の手順を示す際に、技を示している人体の周囲に円を描いて囲んでいることがある。 そうすることで型やその変化や全体のバランスをよりよくとらえられる。左右、前後、上下など、より的確にとらえられやすくなる。…

やわらを入れる(第二部) 『もうひとつのからだへ』【 円相が呼吸する 】の章 ‐ 〈2〉

円は空海、親鸞、日蓮にもあった 円相は人の身心や行為や技やコミュニケーションに深く関わり得る形だ。私は、敢えて人間の存在の様式、あるいは構図に関わると言いたいくらいである。 人類と円相との関わりはおそらく月や太陽の円輪に発するかもしれない。…

やわらを入れる(第二部) 『もうひとつのからだへ』(新著予定タイトル)

今回から何度か、私の予定の著書(本来は2013年秋刊行が、出版社(K社)の都合で取り止めになったもの)の中から抜粋して載せてゆきます。予定の著書とは内容も順序も少し異なることになると思いますが、よろしく。 なお、最後の写真、動画はきわめて意味の…

体感・体現はここまで〈進化〉する……私の体験から

次の文章をブログ再開への序文とします。 ============================== 私は、武術、瞑想、舞、健康術などを〈身体の文法〉を通してまとめ、当初は便宜上∞気流法と名付けたけいこを、時に系統だって、時に想いのまま実験的に行なってきました。何年も続け…

「合気は常識よ」― 植芝翁の一言から ・・・〈やわら〉を入れる―特別篇

しばらく連載を休んでしまいました。 実は、九月末から十月半頃まで、ドイツ、フランスに講習に行ったことと、その前後、ある出版社から二百数十枚のハードカバーの本の出版を持ちかけられ、引き受けてそれに取りかかったことで、余裕がなくなったことをお断…

〈やわら〉を入れる ― 共感の力へ《13》

「天の浮橋に立って眺めれば、みんなわしの孫の孫」 合気道の創始者の植芝盛平翁が、武術の「浮身」に通じる立ち方、構え方、運足法を古事記に出てくる「天の浮橋」という言葉を用いて表現した。 もう、五十年にもなるが、私が二十歳台のときに、強い弱いの…

〈やわら〉を入れる ー 共感の力へ《12》

人が人となった原点、直立二足歩行の姿勢の裡に、〈翼〉をもって飛翔する可能性を含んでいた―。 直立した人は、半ば宙に浮いている 前号で触れたように、直立の姿勢のよって、這う姿勢では、自己と大地との間で〈懐〉としてなりたっていた空間が、前方へと果…

やわらを入れる 〈号外〉・ビデオ編

「翼」号外3 〈ビデオ〉―「翼」で活かす武道の技と足捌き―その一例 「翼」をもつこと、「翼」を活かすこと、それはこれから少しずつ解いてゆきたい。 そのごく一端として、わたしがずーっと続けてきた〈柔術や剣術、合気道〉の中で、「翼」をもつことで可能…

やわらを入れる 〈号外〉

「翼」号外1 「翼」について、あるアンケートに書く機会があったので、それを載せます。 「直立二足歩行」を人間の原点とし、身体、意識、言語の初源を探ってきた。立ち上がるとは、実は半ば〈翼〉を有して翔ぶことだと最近気付いた(3.11の衝撃もあって…

〈やわら〉を入れる ー 共感の力へ《11》

直立した人は〈翼〉をもつ 人間が人間となった、その原点の直立二足歩行の体勢が、這う物達の体勢からどのような過程を通って変容していったのか、何故、立つ姿勢を獲得したのか、必ずしも説は定まっていない。 けれど、這う状態と比べると、立つことはとて…

〈やわら〉を入れるー共感の力へ《10》

直立二足歩行という〈根源〉へ 「いま、私たちが当面しなければならない課題は、人類が〈地球〉上へ出現した当初までさかのぼらなければ目処がつかないほどきわめて根源的なもの(もの事→坪井註)を、皮相的なものを通して窺い知るということである。」……こ…

〈やわら〉を入れるー共感の力へ《9》

これまでの連載を少し顧って 私が何年も「文武」に取り組んできて、遂に行きついた、ある非常に意味のあると思われる発見を記してゆきたい。この連載を始めた当初は思いもつかなかったある〈発見〉……。 その内容にもかかわってくるため、元々の連載「〈やわ…

鼎談の参加者について

参考までに、ここで谷川さん、覚さん、坪井、三人の談話者の関係を述べるので、もし興味があったら読んでください。 もう、三十年近く前、精確には1984年、歌手で作曲家の木村弓さんが、彼女が師事している瞑想と健康法の原田という先生に勧められたと言って…

続「からだとことばの想像力〜共感の時代へ」

前回の私のレクチャー「掌と心と言葉〜ヘレン・ケラーの目覚めから」に続いて、谷川俊太郎(詩人)、覚和歌子(詩人、作詞家)、坪井香譲(身体技法)による鼎談「ことばと生命の“今”を問う〜懐かしさの源流へ」を載せる。 私はイベント全体の企画に早々と「…

承前

講演・続「掌と心と言葉 ー ヘレン・ケラーの目覚めから」 坪井香譲「掌と心と言葉〜ヘレン・ケラーの目覚めから」-2 坪井香譲「掌と心と言葉〜ヘレン・ケラーの目覚めから」-3 講演後記 ヘレン・ケラーについて、もう少し。 コミュニケーションの自由を喪失…

再開の前に…

昨2011年8月末以来、ブログ文武随想録を休んでいました。 この間、9月末から10月中旬までフランス南仏の村とパリで講習を行いました。 10月末には東京港区のホテルで、私の卒業した早大心理学の同窓会があり、頼まれて、簡単な講習を2時間半くらい…

ごあいさつ

身体技法「∞気流法」を世に問いはじめてから三十年余になります。 まことに遅々たる歩みとはいえ、国内にとどまらず、フランス、ドイツ、ベルギー、オーストラリア、ノルウェイなどで少しずつ稽古の仲間も増え続け、発展してきています。 二年前には京王•小…

やわらを入れる―共感の力へ《8》

リラックスと指揮者小澤と甲虫 元ウィーン歌劇場の指揮者だった小澤征爾氏が、若い音楽家のためのセミナーで指揮法を伝授するビデオを見たことがある。二十年も前のものだが。 楽団を前にして、指揮台に立ったその学生が、頭上に振り上げたタクトを、勢いよ…

共感の力(改題・〈やわら〉を入れる)《7》

合気道や〈ひかりの武〉の稽古をしている中に、バッハの音楽に目覚める。 レストランのマネージャーの仕事に打ち込んでいると、いつの間にか体術の技倆が上がっていた。(連載《6》より) なぜそうしたことが生じるのだろうか。どんな過程がそこにあるのだ…

共感の力(改題・〈やわら〉を入れる)《6》

空間は私たちの呼吸器だ 物理的空間、その中に含まれる空気の汚れも清浄も私たちは共有している。そして言語の共有性。二つは時にずれ合い、時に重なり合う。 前回でそのことを書いた。 そうした共有性のセンスこそが、人間の活々した営みの根源にある。 物…

「〈やわら〉を入れる 」《5》

揺さぶられた言語宇宙 この連載で本来続けてゆくべき「文武」のテーマの文が中断し、「緊急寸言」と銘打って不規則な載せ方等もした。前回は本来のテーマに近づけたが…。 実は、なかなか書けなくなってしまっていた。先に練った大体の構想はあるので、それに…

「〈やわら〉を入れる 」《4》 English ver.→see PDF

English ver.→ english.03.05.2011.pdf 〈龍〉の幻想と現実 私たちが生を営む日常の場の時間と空間がザックリと切り裂かれたままになっている。その大きく開いた傷口はピクピクと未だにひりついている。膿み、瘴気を発し続けている───。 ギリシャ神話の怪物…

「〈やわら〉を入れる 」《3》

English ver.→ english.07.04.2011.pdf ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 原発の事故あるいは事件は、依然として事態が不透明である。いつもクリアーに合理的に考え処理している筈の科学者や技術者が、底知れぬ沼地に入ってもがいているようだ。二回ば…

緊 急 寸 言・その《2》 English ver.→see PDF

English ver.→ english.30.03.2011.pdf Deutsch ver.→ deutsch.30.03.2011.pdf 本来の「文武随想録」の続きを載せる前に、もう一度「緊急寸言」を出します。感じていることを、今、発表した方が意味があると思うので…。 地震と津波発生から約二十日間、今も…

緊 急 寸 言      English ver.→see PDF Deutsch ver.→see PDF

English ver.→ english.23.03.2011 .pdf Deutsch ver.→ deutsch.23.03.2011.pdf ブログ「文武随想録」の次を書いている最中、地震がきた。──それから十日。(『やわらを入れる』の続きは次回にまわします。) 言語道断。言葉もない。声を失ったその声の持主…

「 〈 やわら 〉 を入れる 」 ━ 「 武道は愛 」とは? 《2》

剣と「和─やわら」がつながる 「俺が本当に修業したのは剣術ばかりだ」と、実は「やわらを入れた」として江戸庶民に喝采を受けた、と竹内氏がいう勝が言っているのである(『氷川清話』)。 彼は、遂に一生真剣をもって人とわたりあうことはなかったが、暗殺…

「 〈 やわら 〉 を入れる 」 ━ 「 武道は愛 」とは? 《1》

竹内敏晴氏と柔術 一昨年亡くなった演出家の竹内敏晴氏の父方の祖父に当る人は柔(やわら)、柔術の達人だった。どんな風だったのか、去年出版された竹内氏の語り下ろし自伝『レッスンする人』(藤原書店)に、その一端が出てくる。以下坪井が要約。 …ある時…